これからの品種についてのアレコレ

8月23日のオープンからあっと言う間に1ヶ月が経ちました。夏場のくだものはスピードが命で、とにかく採ってすぐ販売、の繰り返しで毎日目まぐるしく状況が変わります。

特に近年の異常な猛暑により、旬は前倒かつ短縮傾向にあります。幸水はあっという間に終わり、つづく豊水との間に数日のブランクが生じてしまいました。
昔は10月に入っても収穫ができていたナイアガラ・レッドナイアぶどうは、今ではもう9月下旬にかかるかかからないかというタイミングが限界です。

ナイアガラ・レッドナイアぶどうは、去年が少雨により高品質だったのですが、今年は後半に雨が多く、「やや良い」といった評価でしょうか。それでも去年から取り組んでいる、摘粒の励行や弱剪定といった栽培上の工夫と、人手をかけた早期の全収穫により、従来よりロスの量は減らせています。なにより大粒で美味しいナイアガラが採れるようになったのは非常に良い傾向です。
ナイアガラのファンも根強くおり、道の駅などで豊楽園産のナイアガラを見つけてくれた方が農園に通ってくれるようになった例がかなり多いです。なんとなく、「東濃のナイアガラファンの集う場」といったポジションになりつつあります。ファンの方のためにも、長くナイアガラを作り続けなければと責任も感じます。

しかし、手間が非常にかかる割には価格を上げづらいのがナイアガラの弱点です。本来は手間がかからない品種のはずですが、気候変動により手間がかかる品種になってしまった。また、消費者嗜好(種無し、皮ごとが好まれる)の変化により、やや敬遠されがちです。食べると間違いなく美味しいので、試食をすすめているのですが。

限られた経営資金をどう使っていくか。やはり、世間でのシャインマスカット栽培の席巻からも分かるように、同じ手間がかかるなら、保存性よく、高価格帯で、見た目よく、種無し皮ごと品種で、有名な品種を育てた方が良いのは自明です。しかし、シャインマスカットは既に生産過多により価格が暴落しています。これをすれば正解、というのが無いのが事業の難しさです。

豊楽園でも一つ動いてみようと、去年ナイアガラを一部伐採して種無しぶどうを数本植えました。令和の巨峰とも評される「BKシードレス」、はちみつのような華やかな風味の「ハニーシードレス」。どちらも現代的でありつつも、ナイアガラが好きな豊楽園のお客さんにも気に入っていただけそうな美味しいぶどうです。他にも、さくらんぼのようなプリプリ食感で素晴らしい香りのする「ヌーベルローズ」も今年植えました。
一部は来年から数房おためし収穫できる見込みです。収穫時期や土壌、気候との相性、手間の多寡、評判など、実際に育ててみてから今後どうしていくかまた考えます。

変化を迫られているのは当然ぶどうだけではありません。りんごは高温による着色不良が全国的に問題になっていますし、梨は「新高」が尻割れや煮え果など、深刻な果肉障害が起きてあちこちの農園で伐採が進んでいます。特に「新高」は比較的冷涼な豊楽園でもやはり被害がそれなりにあり、将来的にはやはり伐採ということになるのでしょう。

再来年、豊楽園では隣の田んぼを果樹園に変え、梨やりんごを100本単位で新植する計画を立てています。あちこちから色んな品種を取り寄せて、試食し、販売時期のリレーを検討しました。おおむね、どの品種を植えるかも固まってきました。10年後くらいでしょうか、これらが成木になれば、常に数品種の食べ比べができる梨狩り、りんご狩りが実現します。楽しみです。

来年で創園から40年となる豊楽園。次の数十年をしっかりと経営していくために、時代や気候に対応し、新しい取り組みが必要になってきます。
栽培や販売をしているなかで感じる肌感覚を信じ、うまく舵取りしていきます。